初期構造と運用状況
初期の横型乾燥機は、千鳥ラウンドノズル(上下6本構成)と両吸込みラジアルファンによる空気循環を採用し、1室あたり約3mの構成で設計・運用されていました。
この方式は比較的シンプルかつ安定した運用が可能でしたが、基材運送中のフローティング安定性に課題があり、特に耳部でのバタつきが品質面および生産性の低下要因となっていました。

技術提携による
新構造の導入
上記の課題を解決するため、当社ではドイツメーカーと技術提携を行い、同社が開発した軸流ファン+蒸気ヒーター+上下千鳥配列PS30°形ノズルを搭載した乾燥機を採用しました。
この乾燥機の導入により、フローティング性能は大きく改善され、耳部のバタつきも大幅に軽減されました。ただし構造が複雑であることから、メンテナンス性・製造コスト・設置性において新たな課題も発生しました。

独自構造による最適化
ドイツメーカー型乾燥機の利点を維持しつつ、構造の簡素化と保守性向上を目指して、当社では独自の特殊ノズルを開発しました。このノズルは、左右2対のパネル型循環ファンと組み合わせることで、従来型・ドイツメーカー型、双方の特性を融合したハイブリッド構成となっており、次のような特長を有しています。
・フローティング性能の安定維持
・構造の簡略化による保守性の向上
・装置全体のコストパフォーマンスの最適化

運用対応範囲の拡張
時代とともに製品、基材の仕様が変化する中、さらなる対応力が求められました。特に以下のような仕様変更への対応が求められるようになっています。 シングル幅からダブル幅への対応 一度含浸から二度含浸工程への対応 紙フェノールからガラスクロスエポキシ等、高品質基材への対応 これに伴い、広幅・多層構成への対応や、高精度な塗工・乾燥制御技術が求められるようになりました。

竪型構造・
パネルヒーター型への発展
さらなる製品多様性および高性能化ニーズに対応するため、横型乾燥機の設計思想を応用した「竪型乾燥機」の開発・納入を実施しています。また、近年では薄物基材への対応や異物対策の観点から、従来の熱風循環方式から、樹脂内部の加熱を促進する遠赤外線(輻射熱)を発生させるセラミックパネルヒーターと熱風を併用した、非接触・クリーン型構造へと進展しています。

現場課題への対応力
乾燥装置の最適設計においては、単なる熱源供給や風量制御だけでなく、基材種別、ライン構成、メンテナンス性、エネルギー効率など多面的な要素を加味する必要があります。当社では、これまでの納入実績と現場対応経験に基づき、お客様の課題に合わせた構造提案、カスタマイズ設計を行っております。

